物質の中には電気を通しやすいものと通さないものがあります。
電気を通しやすい物質を『導体』、電気を通さない物質を『絶縁体』または『不導体』といいます。
このほかに導体と絶縁体の両方の性質を併せ持つ『半導体』という物質もあります。
鉄や銅などの金属は代表的な導体です。
導体の中には、自由電子になりやすい電子がたくさんあり、まるで原子核の隙間を自由電子が泳ぎ回っているような状態になっています。
そのため、自由電子が次々に移動することができ、電流が流れる事ができます。
一方ガラスやゴム、陶磁器は代表的な絶縁体です。
絶縁体ではほとんどの電子が原子核と強固に結びついていて自由電子になりにくくなっています。
こうした電子を『束縛電子』といいます。
絶縁体の場合、電気を流そうとしても自由電子がないため電気が流れません。
電子は原子核の周囲の軌道を回っていますが軌道は1つとは限りません。
電子には原則として原子核に近い内側の軌道に収まろうとする性質がありますが、1つの軌道に収容できる電子の最大数は決まっていて電子の数が多い原子ほど外側の軌道を使うようになります。
それぞれの軌道は『電子殻』といい、内側から順にK殻、L殻、M殻、N殻・・・と呼ばれます。
そして、内側からn番目の電子殻には最大2×n乗個の電子が入ることができます。
つまり、それぞれの電子殻に入ることができる電子の最大数は、内側から順に2個(K殻)、8個(L殻)、18個(M殻)、32個(N殻)・・・となります。
最も外側の電子殻(最外殻)にある電子を『価電子』といいます。
価電子は原子核から最も遠いため原子核の束縛が弱く、自由電子になりやすくなっています。
ただ、最外殻でも最大数の電子が入ると状態が安定しやすくなります。
L殻より外側の軌道では1つの電子殻に8個の電子が入ると、一応は安定するという性質もあります。
代表的な導体で電線などにもよく使われる銅は、原子番号29番で電子の数は29個です。
価電子が1個しかありません。
もともと価電子は原子核の束縛が弱いがそれが1個であるため、外部からの刺激が集中することになり自由電子になりやすくなります。
そのため銅は良好な導体になります。
ただし、電子の数だけでその原資が導体になるか絶縁体になるかは判断できません。
原子や分子同士の結合方法でも違ってきます。
たとえば、黒鉛とダイヤモンドは同じ炭素元素でできています。
しかし原子の結合の構造(結晶構造)が異なるため、黒鉛は導体になるがダイヤモンドは絶縁になるといったこともあります。